2016-07-19

ARMのIPビジネス

自分で理解している範囲でARM IPビジネスについて書いておく

ARM命令セット

ARM自体は数年周期で自身の命令セットにいろいろ追加してきてる。ARMv7-aと言っても、Cortex-A8世代からCortex-A15世代でいくつか拡張を持ってて、例えば割り算命令なんてのはCortex-A15世代で実装されたもの。

これもライセンスされていて、ARMが作った命令セットを実装した互換CPUというものを作ることが可能。AppleのAシリーズやQualcommのハイエンドチップらへん (最近ではSnapdragon 820) は自身で設計している。最近はNVIDIA (Nexus 9で採用されたもの) やSamsungやAMD (K12?) も自身で設計してる。


ARMコア

互換CPUということではなくて、ARMが設計したCPUデザインをライセンスしてもらう方法もある。ARM採用のSoCを作ってる場合の大体の会社はこれ。QualcommはSnapdragon 820のように自身で設計している場合もあるけど、ミッドレンジ・ローエンドのSoCの場合は、ARMデザインのコアを利用してSoc提供してる。今時のスマフォで使うようなミッドレンジだとCortex-A12とかCortex-A53とか使ってるし、組み込みとかのローエンドだとA5とかA7とかA9とかかな?

そのため各SoCでのCPUのパフォーマンスの違いはクロック数やリビジョンくらいしかないけど、CPUのデザインを作ることないので、参入しやすいが、物理層の実装はやらないといけない。

なお、命令セットによってはオプションだったりするので、Cortex-A53採用したといっても暗号化エクステンションが入ってない実装とかも作ることができる。事実Cortex-A9の時代にNVIDIAがNEON (SIMD命令セット) が実装されていないSoCを提供した話は黒歴史としてみんな覚えている話。


物理設計

ARMのセミナーに行くとわかるとは思うが、最近のARMはシリコン設計まで起こしたデザインも持っている。このハードマクロ実装だと2GHz目標で持っていけるとか。物理層の実装までライセンスがあるのが面白いところ。


なお、ルネサスやNXP (元フリースケール) のように自社で独自IPを持っている会社もARMのライセンスの元でARMのCPUを採用したSoCを提供してて、最近はこっちが主流だったりする。市場競争力的にはインテルがモデム内蔵のatomなSoCを止めたところなので、ちょうどARMの独占って感じになりそうなので、ソフトバンクが買収するタイミングとしては抜群なのだけど、買ってどうするんだろってところだね。