2008-12-30

Firefoxに欠けているもの

Firefoxのシェアは20%を超えるくらいまで伸びているようだけど、これは今後ジリ貧になる可能性が高いと感じている。今のユーザー層というのは、一般のConsumerであって、企業ユーザーではない。

もし自分がSIerだったら、Firefoxを元にしたシステムの導入を選べない。ちょっと理由を書いていく。

LTS (Long Time Support)の欠如

まず、Firefoxのリリースとサポート終了日を確認してみる

リリースEnd Of Life
Firefox 1.02004年11月2006年4月
Firefox 1.52005年11月2007年5月
Firefox 2.02006年10月2008年12月
Firefox 3.02008年6月

次の表は企業用でもっともシェアのあるやつ。ちなみに触れておくと、メインストリーム終了ってのはプレミアサポート経由での個別バグフィックスサービス(基本的に無償)の提供が終了する日で、End Of Lifeはセキュリティ修正のホットフィックスも終了する日。金さえ払って契約しておけば、この期間が過ぎてても個別対応はあるそうだけど。。。(実際、サポート期間が切れる前に契約を事前にしておく必要があるらしい)

リリースメインストリーム終了End Of Life
Internet Explorer 6 with 20002001年9月2005年6月2010年7月
Internet Explorer 6 with XP2001年9月2009年4月2014年4月
Internet Explorer 7 with XP2006年11月未定(おそらくXPと同様)未定(おそらくXPと同様)
Internet Explorer 7 with Vista2007年1月未定(おそらくVistaと同様)未定(おそらくVistaと同様)

こう見るとわかるけど、MicrosoftとMozillaだとサポート期間が明らかに違う。Web DesignerやConsumerだと、なぜ早く終わらないの?。検証しないといけない環境が多すぎるという声は当然あると思うけど、企業からの声は逆で、もうやめちゃうの?早すぎ。延長してくれというクレームが多い。

いくら標準をうたっているブラウザであってもトリッキーなページの解釈についてはバグがつきもの(バグをつくようなAcid Testを見ればわかる)。そのため、システム提案・開発・導入時にはバージョンも指定して、そのバージョンで固定する場合が当然かと思う。そのとき、FirefoxのようなすぐEnd Of Lifeを迎え、なおかつ、新しいバージョンとのオーバーラップ期間もほとんどないものを選ぶなんて、基本的には自殺行為もいいところ。

企業でひとつのシステムが稼働するのは、3年から5年以上。そのため、それを計算して導入を検討するんだけど、Firefoxのようなサポート期間が短いものだと、検討の対象にできない。

Linuxだとディストリビューターが管理も行うから、ちゃんとブラウザのバージョンが固定かと思ったら、タチが悪い。Red Hat Enterprise Linux 5には、Firefox 1.5が付いているんだけど、5.2にあげるとFirefox 3.0になってしまうという。これを聞いて、RHELをデスクトップには推奨できなくなった。(SuSEはどうか知らない)

Deployment

IT企業のようにPCだけ渡されて、「好きにしていいよ、Proxyはこれ。またメールについては、SMTPはこれ、POP3はこれ、IMAPだとこれね」って教えられるようなところだと別にどうでもいいかもしれないけど、通常の企業の場合、そんな設定さえも自動にできないとIT部門のコストがかかってしょうがない。

Firefoxでも、プロキシ構成についてはスクリプト(通称PACファイル)を仕込んでおけばプロキシサーバーの変更を一手に行える。

これがInternet Explorerだと、その機能に加えて Active Directoryのグループポリシー機能を利用した設定の自動変更さえも一手に行える。システム管理側としては(動くか動かないかは抜きにして)選ぶ理由にもなり得る。

また、セキュリティアップデートというのがくせ者。アップデートを簡単に管理者がコントロールできるようにする機能もないので、それが帯域を占有したり、勝手にアップデートをされた結果、イントラネット上のツールが動作しなくなるということも発生しうる。そのために(ツールの修正を行うまで、ダウングレードを手動で行わせたりするような)追加コストでさえも無駄に発生してしまう。Microsoftだとすべては無償のツール使ってできるんだよね。

じゃ、それで?

明らかに足りない部分はあるので、こういうメンテナンスビリティを来年をちょっとやっていこうかなぁとは思っているんだが。今考えてるのはそんなところ。

2008-12-24

各ブラウザのDNS Resolver

@ITから。

http://www.atmarkit.co.jp/news/analysis/200812/22/chrome.html
これは読んで字のごとく、DNSによる名前解決を事前に行うという機能だ。Webページが表示されたら、そのHTMLに含まれる各URLのドメイン名について、先にDNSサーバにクエリを投げて名前解決をし、IPアドレスを取得しておく。こうすることで、処理自体は軽いのに時間がかかりがちな DNSクエリの往復時間を節約できる。

記事書く人のスキルセットは当然微妙なのだけど、各ブラウザのDNSリゾルバの実装について書いてみる。

IE(WinInet)でもDNS<->IPアドレスのマップというのはキャッシュ(ExpireTimeは当然レジストリで調整可能)するので、同一ホストへの二度目以降のアクセスは高速化するはず。これはMozilla (Firefox/Necko)でも同様に持ってる。

これらのブラウザで使われているDNS名のキャッシュというのは、1つのWebコンテンツは基本的に(画像やCSSなどの要素が)同一ホストに置かれている場合がほとんどであるということを想定しているもの。すなわちDNSクエリーの数を最小限にする最適化のため。

SafariはCoreFundationの中の話になるとは思うけど、同じようなことしてんじゃないかなぁ。Operaもだけど。持っている情報からはわからないけど。

ただ、Chromeのような動作は、一つだけ問題がある。Dynamic DNSを使った場合にそのアドレスが保証されないということ。モダンブラウザのDNS Resolverの動作でごねられた経験がある自分的には、Googleの実装方針を選べない。例えばActive Directoryなんて組んでいる環境で、ホスト名のIPアドレスがごろごろ変わってしまう状況があり得るイントラネットではこの実装は選べない。IPv6がやってこれば別だけどね。

2008-12-20

Android Dev Phoneがやってきた

土曜日にUPSからAndroid Dev Phoneが到着した(正確には金曜日に不在届けが入ってたのだけど)。なので、実質約1週間かかった。Android MarketのTrackingページを見ても、ずっと発送待ちのままだったんだけどね。

Softbank(Vodafone Japanのもの)のSIMを使って、アクティベート。APNを設定するのは[menu]を押さないといけないみたい。Nokiaとは違って、普通に日本語フォントが入っているので、AndroidのWebKitベースのブラウザでも日本語は表示されるし、GMailでも日本語メールを表示可能。

で、Terminalソフトを入れようと思ったけど、pTerminalがAndroid Marketから見つからない。で、別のソフトウェア "Terminal Emulator" を入れてみると、これでもCUIは利用可能。それでいろいろ見てみると、、、

  • cat /proc/cpuinfoでは、ARMv6-compatible processor rev 2 (v6l)
  • dmesg も見える
  • mount を使うと、ファイルシステムはyaffs2
  • su って使えるんだっけ?。使えるみたいだけど?
  • 存在しないコマンドはPermission deniedになるけど、suした後は、not found。

な感じ。

ガジェット的には、ちょっとちゃっちさがありありで、ポインティングデバイスもなんかすぐ壊れそうな印象。値段相応だな。

2008-12-16

Java Plugin for Windows x64

JavaのBug Databaseにこのようなバグのエントリがあったのは知っていたんだけど、最新のJDKのスナップショットには、64-bitのFirefoxで使えるJava Pluginが追加された。試しにインストールしてテストしたところ、ちゃんと64-bitのFirefoxでプラグインがDetectionして、ちゃんと使えるみたい。サンプルのアプレットを表示してみたところ、ちゃんと表示される。

というか、プラグインのコードの部分のパッチ用のバグ開いておかないとなぁ。

2008-12-13

Thunderbirdの返信ヘッダのカスタマイズ

返信ヘッダをカスタマイズするのには、片貝さんのところで説明されているようにするか、TB Quote Headerというアドオンを使うしかない。自分は、TB Quote Headerを使っていたんだけど、3.0 Beta 1にしたら、バージョンで弾かれて、直さないと動作しない。(Nightly Testing Toolを使ってもいいんだが)。

アドオン直すのもなんだから、Thunderbirdのコードでどうハードコードされているのかちょっと調べてみたところ、本来 reply_header_type = 4で固有のカスタマイズができるようにしようとした形跡があるんだけど、実際何も実装されてない。

会社ではThunderbirdを使っているし、ちょっと前に会社でその話題 ("〜さんは書きました"という風に出るのは、日本人以外に返信する時にまずいだろう) になってたので、bug 107884をやろうかと。っていうかパッチはもう作ってあるので、レビュー中だけど。

2008-12-09

2008-12-04

Firefox 3.2?

Firefox 3.1のツリー (http://hg.mozilla.org/releases/mozilla-1.9.1/)が作成された。このツリーは、Firefox 3.1になるべきツリーで、Beta 2の後、Beta 3、RCと進んでいく予定のもの。毎度の事ながらチェックインには制限が与えられて、Approvalが必要になる。

で、FirefoxのUpstreamであるmozilla-central (http://hg.mozilla.org/mozilla-central/)ツリーは、Firefox 3.2という暫定的なバージョン用になって、ツリーがオープンされた。チェックイン待ちのコードが大量に入り始めているはず。

なお、ThunderbirdやSeaMonkeyで使っている、comm-central (http://hg.mozilla.org/comm-central/)の依存関係もmozilla-centralからmozilla-1.9.1に変更された。なのでEnlistingには注意が必要。

2008-12-01

iPhoneが売れている?はぁ?US市場しか見なすぎ

iPhoneの国別売り上げっていいデータがないので、古い記事を含め、いろんな記事を斜め読み。

From http://www.businessweek.com/magazine/content/08_17/b4081000500950.htm

As in the U.S., Apple (AAPL) cut exclusive deals in Europe so only one wireless carrier has the right to distribute the device in each country. It has three such contracts so far, with Britain's O2, France's Orange (FTE), and Germany's T-Mobile (DT). Strategy Analytics, a Newton (Mass.) consulting firm, estimates the three carriers sold a combined 350,000 iPhones in the fourth quarter last year, short of the consultancy's forecast of 500,000. It also estimates sales in the first quarter of 2008 dropped to 300,000. (There were 2 million iPhones sold last year in the U.S., where AT&T (T) is the sole carrier.)

ヨーロッパだと、初代 iPhone が、2007Q4 で、35万台、2008Q1 で、30万台。

http://www.canalys.com/pr/2008/r2008021.htmから、2007Q4でWorld Wideは、232万台。アジア (実際には香港?) で何十万台も売れるはずはないから、200万台弱はアメリカでの売り上げ。

で、特に、2008Q2のEMEA(要するにヨーロッパ)のデータ(http://www.canalys.com/pr/2008/r2008082.htm)を見ると、Othersの中でしかない。ということは、2008Q2は、Samsung(40万台)以下のセールスしか獲得していないということ。

また、http://www.canalys.com/pr/2008/r2008112.htmから、2008Q3 (iPhone 3G 発売時) の総売り上げは、World Wideで690万台。その流れからすると、約550-600万台弱がUSでの売り上げと予測される。

iPhone 3Gのスタートダッシュの情報(http://www.medialets.com/blog/2008/08/04/the-first-1-million-iphones-where-did-they-go/)からiPhoneの売り上げを見ても、ほとんどがUS。(国別で見れば日本は売れている方)。ヨーロッパ各国の売り上げのスタートダッシュを見れば、その後爆発的に売れたということはなさそうだから、良くてクオーター毎の売り上げはヨーロッパで30-50万台程度だろう。

また、ヨーロッパじゃスマートフォンが全く売れていないということではなく、ヨーロッパのスマートフォン市場で考えても、Nokia(Symbian/S60)が圧倒的。続いて、Windows Modile?。iPhoneが強いのはUSでしかない。

こう見てくると、小さいながらスマートフォン市場がある日本でiPhoneが売れないのは、ヨーロッパと同様で市場(需要)がそれだけしかないということでしかないと思う。

だから、携帯電話とスマートフォン市場って、ただ単にアメリカもガラパゴス、ヨーロッパもガラパゴスなんだよね。ただ中国は、アメリカというよりも、まさにヨーロッパとシェアが同一のパターン(Nokiaが市場をリード)なので、スマートフォン (携帯電話)においては、ヨーロッパの構造がスタンダードになる確率は高いとは思うが。